東日本大震災から、18日後。
恋人にやっと会うことができた。
大きな余震が起きなかったことに、安心した。
元々はデートをする予定だった地震の日、私は歩いて家に帰ったが、彼も同じ様に歩いて帰ったという話を聞いた。
バスや車が渋滞していて全然進まず、歩いた方がずっと早かったらしい。
あと、知らないおばあちゃんに道を聞かれて、ちょうど彼の家の方向と同じだったので、途中まで案内したそうだった。
彼の就活中のデート
恋人はその時期、就活の真っ最中だった。
前の年の冬から就活が始まり、そろそろ疲れが出始める頃だった。
私はその頃はまだ就活をしていないので、企業の話はわからなかったが、初めてスーツ姿の恋人とデートをした。
彼は、高校時代から文化祭のクラス劇でお父さん役を任されるくらい、大人っぽい顔の人だった。
私の研究室にいた童顔の人はスーツを着ると高校生みたいに見えたが、同じ就活生でも恋人は全く違って見えた。
恋人の姿は、理想的なサラリーマンのお父さんの様だった。
彼は、「スーツに着られる学生にはなりたくない」って言ってたけど、そんな心配は全然なかった。
彼は知的なイメージがあり、世の中の情報にも敏感なので、きっと社会に出る上で有利な素質を持っていると、その時に私は思った。
彼はスーツを着ると、その知的なイメージが更に増した。
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